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十数年前に観たTVドラマで「聖者の行進」(TBS系)というものがありました。
中学生の自分にはあまりにも鮮烈な内容で、今でも一話一話を鮮明に思い出す。
極めてノンフィクションドラマ。視聴率もそれなりにあったし、同世代の人たちは知っているドラマだと思う。
脚本は『高校教師』、『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』、『未成年』に代表される、野島伸司。
強い人間だけが生き残ることの出来る現代社会に対するアンチテーゼで、ドラマの内容は、水戸事件(水戸アカス事件)を基にしたもの。
知的障がい者達の働く地方都市の工場が舞台。奴隷の如く日常に行われる彼らへの暴力、性的虐待。
ドラマのタイトルは、純粋な心を持つ知的障がい者達を聖者になぞらえるとともに、ドラマ内で彼らが演奏するジャズナンバー「聖者の行進」からとられている。
いちおうこれでも音楽教員の端くれなので 見解を述べると、あまりにも有名な「聖者の行進」という曲は、黒人音楽からの発祥。葬式の際に多く演奏されていたことが文献に残る。日本のようにおどろおどろしく葬送するのではなく、天に召される時こそ、陽気に輝きを持って送ろうという、野性的かつ純粋なおくりびとの心が、あのようなリズミカルな音楽を生んだ。
もちろんドラマ内で使われている意図としては、障がい者の純朴な部分や屈託のない心の奥を、皮肉に表現している部分もあると思われる。
だからこそ、あのマーチを聴く時、なんだか不思議な気持ちに襲われる。
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人に教えるようになり、5年目。
今年度の4月から、通常学級から児童相談所へ異動となった。
戸惑う自分に 同僚は「栄転おめでとー」だとか「若い時に赴任になってよかったよ」であるとか声をかけた。
しかし、現実は想像を絶する環境だった。
自分の胸の不安や戸惑いを保つ前に、目の前に生き延びた子どもの顔を直視することができなかった。
がやがやと珍しそうにメディアで流れる児童虐待、虞犯の現状が広がっていたのだ。
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ここに赴任する前には感じなかったであろう感情があります。
表向きに書いていますが、教師という仕事が「天職」だと思う日もあれば、そうでない日もある。むしろ後者の方が多くなったかもしれません。
悪口は言いたくないなぁと思いますが、自分の今思っていることや子どもとの歩み、たまには辛みなども書き出していこうかと思い、今年重い腰をあげました。
主観が前面に押し出されたブログかも知れませんが(笑)、どうぞお付き合いいただきますよう。
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子どもは幸せになるために生まれてきた
ぼくらの未来は光にみちているか
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